急がれる介護スタッフの負担軽減

介護保険制度が導入されて、介護を受ける側の負担は減ったが、逆に介護スタッフの負担は増えており、そのことが人材育成や定着の邪魔をしているといわれている。そのため、急がれているのが、介護スタッフの負担軽減の施策だ。

実は、介護の仕事では、気づかないうちに無駄な作業をしているケースが多いとされている。例えば、ある仕事は特定の資格を持つ看護師や理学療法士などしか行うことができないため、該当の人物を探し回ってしまう。このような事態を防ぐには、インカムやPHSを導入したり、行き先をホワイトボートに書くなどすれば、人を探す時間を軽減でき、本来の業務である介護に充てる時間を増やすことができる。また、正社員や非常勤、派遣など様々な働き方の人が多い介護現場では、情報を共有することが課題となる。そこで短いミーティングをこまめに行ったり、申し送りのためのノートを活用すると個々の負担を減らす助けとなるだろう。
最近では介護に関するいろいろなシステムが開発され、それらを採用することでスタッフの負担を軽減できている施設もある。例えば、利用者の転倒や異常を感知して遠隔地のスタッフに知らせるセンサーや、車いすから立つ動作をサポートする補助器具、薬の飲み忘れや飲みすぎを防止する服薬管理ロボットなどがあり、介護スタッフがついていなくても見守ることができる点が評価されている。システムやロボットの導入は、介護スタッフの負担が軽減することでより質の高いサービスを提供することにつながるため、導入を検討する施設が少なくない。